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日本神経回路学会 オータムスクール

ASCONE2011 『神経ネットワーク の 静 と 動』

Autumn School for Computational Neuroscience

2011年11月3日(木)〜 2011年11月5日(土) かたくら諏訪湖ホテル


Lecture I 神経行動学から考える『生まれと育ち』:
何を学べて何を学べないのか?その神経分子基盤を探る
講師: 和多 和宏(北海道大学)

Lecture II 活動依存性可塑性のモデル
講師:豊泉 太郎(理化学研究所)

Lecture III  嗅覚回路の配線図を電極のみで解き明かす
講師:風間 北斗(理化学研究所)

Lecture IV 神経情報処理の舞台を探る-自発活動と皮質回路のコラボレーション-
講師:寺前 順之介(理化学研究所)

Special Lecture 神経ネットワーク の 静 と 動
講師:能瀬聡直(東京大学)

特別招待講演以外は、1講師1トピックについて、 以下のスケジュールで行っていきます。
  1. 「事前知識レクチャー」(約1時間)
    問題意識までの導入を行います。 例えば、不思議な脳の現象などを紹介し、 その問題を考えるための材料を提供します。
  2. 「グループ討論・演習」(約2〜3時間)
    小グループに分かれて、提示された問題について自ら考えながら、 チューター、講師らと共に討論します。 最終的にそのグループの意見として全体に発表できるように、 意見をまとめていきます。
  3. 「グループ発表」(約30分)
    各グループで行った討論の結果を代表者が全体に発表します。
  4. 「解説レクチャー」(約30分)
    講師による解説を行います。

11月3日

13:00-13:15 開催の辞

Lecture I  神経行動学から考える『生まれと育ち』:何を学べて何を学べないのか?その神経分子基盤を探る

講師: 和多和宏(北海道大学)

神経系の最終出力である行動表現型、動物行動のパターンがどのようにして学習・獲得され、その際にどのような変化が脳内の神経回路でおこるのか?音声発声学習ができるソングバードを動物モデルとして現在進めている研究を題材として、動物行動をいかに解析していけば、神経系の動作原理や生命現象の本質の理解に寄与できるのか、様々な観点から議論したい。

13:15-14:15 事前知識レクチャー

14:15-16:15 グループ討論・演習

16:15-16:45 グループ発表

16:45-17:15 解説レクチャー

18:00-19:00 夕食

19:00-21:00 Welcome party

 
 
 
 

11月4日

Lecture II 活動依存性可塑性のモデル

講師:豊泉太郎(理化学研究所)

神経細胞間の信号伝達を担うシナプスの強度は細胞細胞の活動に応じて変化することが知られています。特にシナプスの示す長期増強や長期減衰は学習や記憶のメカニズムとして盛んに研究されています。

本講義では、シナプス可塑性の数理モデルに関して、歴史的な背景も交えて解説します。実験から得られた知見をどのように数式を使って表現するか、シナプス可塑性が神経回路の担う計算にどのように関与するかについて説明します。後半では、眼優位性の可塑性を例として、脳の回路レベルで観測される経験依存性の変化を、シナプスレベルの可塑性に関する知見を用いてどのように理解するかを考えていきたいと思います。

9:00- 10:00 事前知識レクチャー

10:00-12:00 グループ討論・演習

討論課題:
  • 抑制系の成熟によって眼優位性の臨界期が始まることがわかっていますが、それがどのように起こるのか、考えてください。
  • 大脳皮質の発達において臨界期の役割は何か、考えてください。

12:00-13:00 昼食

13:00-13:30 グループ発表

13:30-14:00 解説レクチャー

Lecture III 嗅覚回路の配線図を電極のみで解き明かす

講師:風間北斗(理化学研究所)

脳には非常に多くの神経細胞が存在し、各々が伸ばす複数の突起が密に絡まり合っています。ゆえに、神経細胞同士の結合パターンを解明することは困難を極めますが、脳内情報処理のメカニズムを回路レベルで理解する為には必要な過程です。神経の配線図を得るには、形態学的及び生理学的アプローチの双方が用いられます。本講義では特に後者に焦点を絞り、電極一本(もしくは二本)でショウジョウバエの嗅覚回路をどこまで同定できるかを解説します。そして、同定した回路が匂い入力をどのように処理するのか、その意義は何なのかを議論します。

15:00-16:00 事前知識レクチャー

16:00-18:00 グループ討論・演習

討論課題:
  • 嗅覚回路の中の同種の投射細胞は、嗅覚受容体細胞から同期した入力を受けるだけでなく、EPSCの振幅にも相関があります。2つの細胞へのEPSCが相関をもって振幅を増幅するメカニズムを考えてください。
  • 講義で紹介した投射細胞の応答の特性を元に、介在細胞の配線図を加えてください。 そして、介在細胞の機能的役割を考えてください。

18:00-19:00 夕食

19:00-19:30 グループ発表

19:30-20:00 解説レクチャー

21:00-24:00 ポスターセッション

11月5日

Lecture IV 神経情報処理の舞台を探る-自発活動と皮質回路のコラボレーション-

講師:寺前順之介(理化学研究所)

動物が感覚刺激を受けていない時でも、神経系の活動は休む事なく続いています。感覚刺激によって誘起される活動に対して、この活動は自発発火活動と呼ばれます。ほぼすべての神経情報処理はこの自発発火活動の上で行われるわけですから,この活動は神経情報処理の基底状態だといえます。実際、最新の様々な実験により、自発活動が神経情報処理の重要な要素である事が報告され始めています。この講義では、神経情報処理が行われる「舞台」として、大脳皮質の局所回路構造(静)と、その上の自発発火活動(動)について解説します。構造と活動が相互に影響し合う中で神経情報処理が実現されて行く事を数理的に議論したいと思います。

9:00- 10:00 事前知識レクチャー

10:00-12:00 グループ討論・演習

討論課題:
  • 自発発火活動は何をしているのか、考えてください。
  • そして、どんな機能的意義があるのか考えてください。

12:00-13:00 昼食

13:00-13:30 グループ発表

13:30-14:00 解説レクチャー

Special Lecture 神経ネットワーク の 静 と 動

講師: 能瀬聡直(東京大学)

脳神経系のあらゆる機能は、神経回路内を神経活動が伝わることにより生成される。しかしながら、生きた個体生物のなかで神経活動が実際に回路内の細胞間を伝播していく様子を可視化・解析した研究例は少ない。私達は、ショウジョウバエ幼虫のぜん動運動を制御する中枢回路をモデルとして、神経活動が特定の時空間パターンにしたがって伝播する仕組みを探っている。このため、中枢神経系内の特定の細胞群の活動をカルシウムイメージングにより可視化するとともに、光操作により任意のタイミングで活性化、不活化する系を開発している。比較的少数の細胞によって構成される単純な回路において、回路への摂動が神経活動伝播に与える影響を系統的に解析することにより、軸索配線やシナプス結合といった回路の静的な構造が、いかにして動的な活動パターンを生むのかを明らかにしたいと願っている。

14:30-

解散

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

運営

加藤 英之(理研BSI−トヨタ連携センター)
鮫島 和行(玉川大学 脳科学研究所)
酒井 裕 (玉川大学 脳科学研究所)
筒井健一郎(東北大学 生命科学研究科)
山本 慎也(NIH)
渡辺 正峰(東京大学 工学系研究科)

顧問

丹治 順 (東北大学包括的脳科学研究・教育推進センター)
銅谷 賢治(沖縄科学技術大学院大学 先行的研究事業)

共催

日本神経回路学会
「包括型脳科学研究推進支援ネットワーク」(文部科学省 科学研究費補助金)
「メゾスコピック神経回路から探る脳の情報処理基盤」 (文部科学省 科学研究費補助金)
「ヘテロ複雑システムによるコミュニケーション理解のための神経機構の解明」 (文部科学省 科学研究費補助金)
東北大学包括的脳科学研究・教育推進センター